患者が置かれている現状

 

 

 「痛みに対しての保障があまりに不十分ではないのか?」と感じている患者さんは多いのではないでしょうか?

 

 身体障害者の等級についていうと、現在の状態では『どんなに痛くて手足が使えない状態であっても、手と足が付いてるから問題無いでしょ?』と大変低い等級の扱いをされてしまいます。

 

 痛みが生活の支障になっていても、「おおげさに言ってるだけじゃないの?」という扱いでは、患者としてはたまりません。多くの患者は頼みの綱である医師や家族に理解してもらえなかったらどんなに辛い思いをしていることか。。

 この問題は真剣に考えてほしいと思います。

 

 

 

 例えば交通事故を例にとってみます。

 

交通事故での外傷がきっかけでCRPSを発病するケースは多くみられるようですが、十分な保証が受けられない方が非常に多く問題になっています。("十分"というライン引きも問題になるため複雑なところですが)

 

 海外の場合、日本とは比べ物にならないほどCRPSをはじめとした疼痛分野の病気に対して理解があるため、

 

①まずはじめに"痛み"が精神的なものではないか、精神鑑定が行われます。

②次に、精神的なものによらないと判断された場合、CRPSをはじめとした難治性疼痛の一種ではないのか?と仮説を立てて、サーモグラフィー等を活用して、国際診断基準と照らし合わせながら客観的な指標をもとに診断を行っていきます。

 

 簡単にいうと、このように、CRPSという病気を治療していく上で必須の条件となる、早期発見・早期治療が可能な環境が確立しつつあります。

 

 

 

 また、交通事故の際の保険会社の対応を例にとってみても、「保険会社が専門医に治療を依頼する」という体制が整ってる一方、日本の場合では「医師が保険会社に対してそもそもCRPSとはどういう病気なのかというところから立証をし、保険会社に請求を認める手続きをしなくてはなりません」

 そのため、医師は書類作成をはじめ、治療以外に多くの労力を割かなくてはいけません。疼痛に関して理解の無い日本では、保険会社も簡単に申請を認めないため、早期治療が必要なこの病気の足を引っ張っているのが現実です。

 

 

 

 

 ちなみに韓国では、有名人がCRPSにになったことをきっかけとしてCRPSについての理解が世間に浸透し、治療環境も日本と比べて遥かに進んでいるそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『メディカル朝日』 2010年11月号掲載
『メディカル朝日』 2010年11月号掲載

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2010年 12/3 朝日新聞夕刊掲載
2010年 12/3 朝日新聞夕刊掲載