SCSの感想

 

 scs手術がどういった内容なのか、またその効用などについては、医学書、専門書に掲載されていますが、実際に私のように手術の効果について実体験をもって意見を言うことのできる方はまだ少ないと思います。最近、 「 実際のところ、手術してどうなんですか?scsがどれくらい痛みを緩和できるものなのか気になります。」との意見があったので、できればこのページをご覧になっている方にも伝わるよう私なりに効果を説明してみたいと思います。

 

 

 

 少し感覚的な説明になりますが、まず、手の甲を10秒間、思いっきり抓ってみて下さい

 

 

     当然、痛みに敏感な場所ですから、とてつもなく痛いはずです。

 

 

 それでは、次に、抓っていたところの力をだんだんと抜いていって下さい。

 

 最初に比べて、痛みがあるはずなのに楽だ!!と感じませんか?

 

 

 このように、"最初の思い切り抓っている10秒間の痛みが手術前の痛みの状態で、力を緩めた時がscsを使用している時の緩和された痛みの感覚"、という説明の仕方が感覚的に分かりやすいのかなと思います。

 

 ここでのポイントは、「あなたが感じている痛みは私には決して理解できない」ということです。CRPS患者さんの多くは、医師をはじめ、家族の方ですら自分が抱えている苦しみを本当の意味では理解してもらえないのです。

 

 

 どうか、この感覚的な実験を通じて、少しでも患者の方がどういった状況に置かれているのか、想いを馳せてみてください。

 

 

 SCSについて解説されている文献やその他の説明のみでは、この機器が患者にとってどれだけありがたいものなのか決して理解できません。頭だけで理解できるものではないのです。

 

 この治療法は非常に高額であること・解釈の温度差があることから、疼痛の治療方法として普及させていくべきなのか、国や医師の間でも理解が得にくい状況であるのが現状です。 

 

 実際、悲しいことに、とある政治家は「完全に痛みが取れなければ治療方法として意味がない。痛いなら家でおとなしくしていればいい」という趣旨の言葉をおっしゃったそうです。

 

 

 しかし、私にとって、scsを実際使用するか否かということは、稼働域を大きく変え、生活の質も大幅に向上させることができるか否かの分岐点でした。

 

 crps-type1は進行性の病気だけれども、痛みが少しでも緩和されることでなんとか日常生活を送ることができる。未来に希望がもてる。

 

 

 

 私はこのSCS療法や、棚澤先生と出会うことができて本当に良かったと思っています。

『メディカル朝日』 2010年11月号掲載
『メディカル朝日』 2010年11月号掲載

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2010年 12/3 朝日新聞夕刊掲載
2010年 12/3 朝日新聞夕刊掲載