SCS療法の考え方と仕組み

 

  □ SCS療法の考え方 

 

 痛みは、患部から発せられる”痛みを伝える信号”が末梢神経を通った後、脊髄を通り脳に伝わってはじめて「痛い!」という感覚として認識されると言われています。

 

 そこで、「疼痛の患部から発せられる痛みの信号が脳に到達する前に、信号の通り道である脊椎に微弱な電気を流して"痛みの信号"をブロックできれば、脳に伝わる痛みの信号量が減って、痛みが伝わりにくくなるのではないか?」という仮説のもと、体内でパレステジアと呼ばれる刺激感覚を発生させる装置が開発されました。

 

 ペースメーカに似たものと捉えるとイメージが掴みやすいと思います。

 

 

  □ 痛み軽減の仕組み

 

 実際の手術ではまず、痛みが生じている患部に関係する脊髄ポイントを見つけ、そこにリードを配線し、刺激発生装置と接続します。ここで、リードと刺激発生装置が接続されることにより、刺激感覚(接骨院で電気治療を受ける際に当てられる、ジワジワという感覚に似ていると言われます)を発生させるための電気パルスが流れます。

 

 ここで生じた感覚信号(パレステジア)が、"痛みの信号"と置き換えられることで脳に電気信号が伝わりにくくなり、結果として痛みが緩和されるという仕組みです。

 

 

   注意点 

 

 SCS療法は、痛みの原因を直接取り除くわけではありませんので、痛み自体が完全に無くなるわけではありません。

 あくまで体内に装置を埋込み、電気信号を流し、痛みを緩和することが目的です。

(患者さんの多くは、"電気で痛みをごまかす"という表現をされます)

 

 感覚として、術前と比較して痛みが50%以上軽減された場合、SCS療法は成功と考えられています。

 

 

 

 

『メディカル朝日』 2010年11月号掲載
『メディカル朝日』 2010年11月号掲載

Media

2010年 12/3 朝日新聞夕刊掲載
2010年 12/3 朝日新聞夕刊掲載