国際RSD/CRPS研究財団の症例報告によると、近年CRPSの発症率は9〜11歳の子どもの間で劇的に増加しています。特に女児において顕著であるとの報告が多数あり、小児のCRPSが問題となっています。
□ 小児のCRPSの問題 □
小児がCRPSを治療できる専門医にたどり着く確率は大人よりも低いことが問題です。
なぜ、このようなことが言えるのでしょうか?
理由としては、・小児科の診療プロセス ・小児科医の多くがCRPSを知らないことの2つが挙げられます。
■ 小児科の診療プロセス ■
日本の小児科では、
①頭部に外傷を負った場合
②明らかに骨に異常がある場合
上記2つの場合以外は、直接、脳神経外科や整形外科を受診することができません。
この点が大人の場合とは大きく異なり問題の一因となります。つまり、CRPSを知っているであろう脳神経外科や整形外科を直接受診できないことで、早期に発見する確率が下がるといえます。
仮に、上記①もしくは②に該当した場合は、”受傷後すぐであれば”脳神経外科や整形外科を受診することが可能です。
しかし、CRPSの痛みは通常、外傷を負った数週間後に発生することが多いため、CRPS独特の激しい痛みが出てきたとしても小児科から各科に紹介状がない限り、上記の科を受診することができません。
したがって、そもそも小児科医がCRPSを把握していない場合、痛みを訴える子供が専門医にたどり着くことは困難であるのが日本の現状です。